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変わらぬ海に今日も祈る 東日本大震災9年 - 中日新聞

仙台市若林区荒浜地区の浜辺で線香を立てお経を唱える女性。小さいころ泳いでいた海を見つめ「荒浜の思い出は全く変わってしまったけど、海は憎らしいほど変わっていない」=11日午前10時9分(小沢徹撮影)

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 岩手、宮城、福島三県に大きな被害をもたらした東日本大震災は十一日、発生から九年を迎えた。住宅や道路などインフラ復興事業は最終盤だが、津波や東京電力福島第一原発事故による避難者は依然四万七千七百三十七人。生活再建は道半ばだ。新型コロナウイルス感染症の拡大で追悼式の中止や規模の縮小が相次ぐ中、被災地では人々が犠牲者に祈りをささげた。

 政府主催の追悼式は中止となり、安倍晋三首相が官邸の献花式に出席する。岩手、福島両県警は津波被災地沿岸で行方不明者の手掛かりを捜索した。

 宮城県石巻市の無職高橋冨貴子さん(77)は、市内を一望できる日和山で海に向かって手を合わせ、「多くの知人を亡くした。九年たった今もつらい」と語った。石巻市の門脇・南浜両地区では津波で住宅街が流失、かさ上げされた土地に災害公営住宅四棟が立つが、空き地も目立つ。

 政府は二〇二〇年度末だった復興庁の設置期限を三〇年度末まで延長。津波被災地では二一年度からの五年間で復興事業完了を目指す。被災者向け災害公営住宅約三万戸は九割以上が整備された。鉄道は十四日のJR常磐線全線再開で全て復旧する。

 第一原発が立地する福島県双葉町では今月、避難指示が初めて解除された。JR双葉駅前では住民帰還に向け、町役場の連絡所が設置された。職員守谷信雄さん(42)は「ようやく復興のスタートラインに立てた」と話す。ただ解除は一部で、住民帰還は二二年春以降。先行して解除が進められた大熊、富岡両町では九割以上の住民が戻っていない。

 一一年三月十一日、マグニチュード9・0の巨大地震が発生し、最大震度7を観測した。十日公表の警察庁まとめでは全国の死者は一万五千八百九十九人、行方不明者は二千五百二十九人。復興庁によると、震災関連死は昨年九月末現在で十都県の三千七百三十九人。

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March 11, 2020 at 02:01PM
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