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社説 スーパーシティ法 住民監視に道開く危うさ - 信濃毎日新聞

 地域住民の個人データが集約され、一元的に管理される監視都市に道を開く危うさをはらんでいる。「スーパーシティ構想」の具体化を図る政府、自治体の動きに注意深く目を向けていかなくてはならない。

 大量に集積されたビッグデータと情報通信技術、人工知能(AI)を活用して最先端の都市づくりを進める構想だ。内閣府は「まるごと未来都市」をうたう。実現に向けた国家戦略特区法の改定がこの国会で成立した。

 遠隔診療やAIによる受診の勧奨、遠隔教育、無人機による自動配送…。住民生活に関わる五つ以上の分野を並行して進め、社会のあり方を変える実証実験の場と位置づける。行政機関や企業が保有するデータを、「連携基盤」を担う事業者が収集して活用する。

 何より心配なのは個人情報の保護だ。集められるデータは生活のあらゆる面に及ぶ可能性がある。行政機関は公益性など「特別な理由」があれば、本人の同意なしに個人情報を提供できる。何が特別な理由にあたるかは曖昧だ。本人の意に反して使われかねない。

 もう一つは、計画の策定にあたって住民の合意を得る手続きが明確でないことだ。運営主体として自治体と事業者、内閣府が加わる「区域会議」にも住民がどこまで関与できるか分からない。さらに、議会の同意が条件になっていないことも見落とせない。

 新型コロナウイルスの感染が拡大したどさくさに紛れるように、与党が押し切る形でスーパーシティ法は成立した。参院が、個人情報保護の徹底をはじめ15項目の付帯決議をしたことも、危うさの裏返しと見るべきだろう。

 特区の制度は、加計学園の問題が象徴するように、手続きの透明性を欠き、公正さに深刻な疑義が生じている。スーパーシティをめぐってもその懸念はつきまとう。事業者は計画の承認後に公募で決めるというが、あらかじめ自治体の立案に関わった事業者が選ばれるのは目に見えている。

 政府は年内に5カ所ほどを選定し、2022年からの本格実施を目指す。構想のアイデアは既に茅野市を含め全国50余の自治体が提出しているという。

 カナダのトロントでは、監視カメラで得た市民の行動データを都市づくりに活用する計画が、住民の反対で撤回に追い込まれた。地域が監視技術の実験場にされないよう、住民が行政の姿勢に目を凝らすことが欠かせない。議会の役割も重要になる。

(6月16日)

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June 16, 2020 at 07:21AM
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