【ジャクソンホール(米ワイオミング州)=後藤達也】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日の講演で、米中対立について「政策対応の見本となるような先例がない」と苦慮をにじませた。パウエル氏は金融市場の動揺や香港のデモなど米経済に悪影響を与えるリスクも多く指摘。成長持続へ向け「適切な行動をとる」と今後の追加利下げを示唆した。
世界の中央銀行首脳らが集まる国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演した。英イングランド銀行のカーニー総裁や日銀の若田部昌澄副総裁らが出席し、「金融政策の課題」をテーマに24日まで議論する。
パウエル氏は貿易摩擦への対応は「新たな課題」だと語った。貿易政策は政府と議会が担うとしながらも「貿易政策の不確実性を含め雇用や物価を左右するものは金融政策に影響する」と原則論を述べた。ただ、金融政策は「個人消費や設備投資に働きかける強力な手段だが、国際貿易のための確立された規則書にはならない」と対応の難しさを指摘した。
パウエル氏は利下げした7月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、「多くの出来事があった」とも述べ、米経済を取り巻く環境の変化を強調した。米中貿易摩擦に加え、英国の欧州連合(EU)離脱の可能性が高まっていることや香港のデモ、イタリアの政局にも言及。株安や長期金利の急低下にも触れた。米経済は足元で好調を保ちつつも、「成長持続へ適切な行動をとる」と述べた。
ただ、講演は中国が現地時間23日夜に米国への報復関税を表明した直後で、米中の対立が一段と激化するリスクは反映されていない。同日の米株式相場は急落し、9月のFOMCでは一気に0.50%利下げするとの観測も再浮上している。トランプ米大統領による利下げの圧力も強まっている。パウエル氏は講演では追加利下げに含みを持たせたものの、政府と市場はより踏み込んだ発言を求めるようになっている。
2019-08-23 18:15:00Z
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48958950U9A820C1000000/
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