熊本県の荒尾市は、エネルギーの地産地消やさりげないセンシングと日常人間ドックなどを目指したウェルビーイングスマートシティに取組んでいる。荒尾市総務部総合政策課課長の田川秀樹氏に聞いた。
田川氏は、9月30日に開催するオンラインセミナースマートシティ・先行モデル4市の実像~いよいよ社会実装へ~に登壇し詳説する予定だ。
東京ドーム7.5個分の新しい街でSociety 5.0を実現する
---:荒尾市と福岡県の大牟田市は炭鉱のまちとして知られ、JR荒尾駅前に荒尾競馬場がありましたね。
田川氏:1997年に三井三池炭鉱が閉山となり、2011年に荒尾競馬場が幕を閉じました。
そこで荒尾市は2017年に三井物産と再生エネルギーの活用などエネルギー分野で締結しました。これにより設置したメガソーラとバイオマス発電だけで、市内の一般家庭で使う電力の約2倍近くを調達することができています。
荒尾競馬場の跡地(南新地地区)は、荒尾駅前にあり、東京ドーム約7.5個分の広大な土地であるため、土地区画整理事業を行って、道路、公園、住宅地などを新たにつくる予定です。この競馬場跡地でSociety 5.0を実現させたいと考えています。
モビリティ、エネルギー、ヘルスケア分野で
---:荒尾スマートシティの取組みを教えてください
田川氏:荒尾スマートシティは主にモビリティ、エネルギー、ヘルスケア分野の3つです。
エネルギー分野では、先ほどお話したように、市内の一般家庭で必要とする約2倍の発電力があるのですが、九州電力は福岡市にあり、電気料金は福岡市に流出しているような状況です。そこで三井物産とグローバルエンジニアリングが50%ずつ出資し、有明エナジーを荒尾市に設立して、脱炭素とエネルギーの地産地消(地域経済の好循環)を進めています。競馬場跡地の南新地地区では、さらにこの取り組みを進めて、停電しない街を実現したいと考えています。
モビリティも電力の地産地消や停電しない街に役立ちます。モビリティの電動化により動く蓄電池として活用したいと考えています。
2020年度から走るAIオンデマンド型のタクシーの車両も電動化します。荒尾市は路線バスに毎年約5000万円の赤字欠損補助金を出しており、EVを活用したAIオンデマンドタクシーは、それを改善するエネルギーを融合させた新たなモビリティサービスとして期待しています。
ヘルスケアに関しては、街の中にさりげないセンシングと日常人間ドックが行えるようにしています。
あらおスマートシティ推進協議会のメンバーは、正会員が荒尾市、JTB総合研究所、三井物産、有明エナジー、グローバルエンジニアリング、UR都市機構で、アドバイザー会員は東京大学、COI東北拠点(東北大学)、サポート会員がITIDです。
さりげないセンシングと日常人間ドック
---:さりげないセンシングと日常人間ドックはどのように行うのですか?
田川氏:個々人が携帯するスマートウォッチを活用したり、街の中にセンサーを置いて、さりげなく体温や健康状況を検出できるようにします。
問題となる個人情報ですが、データは欧州のように「個人の同意」に基づき活用できるようにします。センサーは、東北大学のCOI東北拠点で活動している民間企業に参画して頂く予定です。
AIを活用して、病院などと患者をつないで最適な治療に役立てたり、その日その日の食事の献立選びなどに活用してウェルビーイングスマートシティを実現したいと考えています。
新しい街づくりに興味がある企業の参画を募る
---:トヨタ自動車のWOVEN CITYなど一から新たな街をつくるスマートシティに対して自動車関連企業が強い興味を示しています。
田川氏:競馬場跡地を活用したスマートシティは、後には荒尾市全体に展開させていきたいと考えています。参画してくださる企業を募っていますので、興味ある方はぜひご連絡いただけたらと思います。
田川氏が登壇するオンラインセミナースマートシティ・先行モデル4市の実像~いよいよ社会実装へ~は9月30日開催。
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September 15, 2020 at 09:30AM
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エネルギーの地産地消“ウェルビーイング”スマートシティとは?…荒尾市 総務部 総合政策課長 田川秀樹氏[インタビュー] - レスポンス
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